Nanaco

あなたの海外生活はお任せあれ!

国慶節はまったり海路で帰国? 国際定期フェリー活用のすすめ

 

お盆シーズンを日本で過ごされた方もそうでない方も、次の帰国日程を国慶節休暇に照準を合わせている方は多いのではないでしょうか。ただ、この時期は中国人も“出国ラッシュ”。フライトチケットも高めなのが頭痛の種です。一方、日中間を結ぶ“定期フェリー”のチケット価格は長期休暇だからといって高くブレることはありません。さすがに日中間を船で往復するのは真っ平だという方も、とりあえず試しに片道だけでも検討されてみてはいかがでしょうか。

 

かつて日中間を結ぶ国際定期フェリーはいろいろありました。

長崎―上海を結ぶ「オーシャンローズ号」、天津―神戸を結ぶ「燕京号」、青島―下関を結ぶ「理想国(ゆうとぴあ)」、さらにはこれからご紹介する新鑑真号と蘇州號はかつて横浜にも就航していた時期がありました。

しかし、諸々の事情で運航廃止が相次ぎ、いまでは日中国際航路といえば、神戸・大阪―上海を結ぶ「新鑑真号」と、大阪―上海を結ぶ「蘇州號」の2つを残すのみとなっています。

 

 

「新鑑真(しんがんじん) 号」は、日中国際フェリー株式会社が運営する国際フェリーで、1994年に就航しました。尾道造船で建造され、総トン数14,543トン、345名が収容できます。先代の「鑑真号」の時代を含めると、すでに就航30年以上の歴史があります。

 

 

一方の「蘇州號(SU ZHOU HAO)」は、上海フェリー株式会社が運営しており、1993年1月18日に就航しています。

建造場所は新来島ドックで、総トン数が14,410トン、収容人数は272名。

船内は日本人にとっては比較的リラックスしやすい構造。「展望風呂」や和室(女性客による利用が原則)を備えているのが特徴です。

 

蘇州号のロビー

 

新鑑真号も蘇州號も、日中間の移動に丸2日の時間がかかります、単純に“時間コスト”を考えたら全く話にならないでしょう。

ただ、国慶節シーズンとなれば別です。LCCでさえふだんの何倍もの価格に跳ね上がりますから、定期フェリーのコスパは魅力に映るはずです。片道でも購入でき、往復チケットなら1年間オープンで復路半額。また、満6歳未満の小児が大人同伴で乗船する場合、大人1人に対し小児1人が無料。ファミリー客にはメリットが大きそうです。

さらに大量の荷物が運べるのも魅力です。新鑑真号を例にとると、受託手荷物なら手荷物が2個までは無料、船室持込手荷物も原則2個まで無料です。荷物1個につき15kgが基準といいますから、ざっと1人あたり60キロもオーバーチャージなしで運搬できる計算になります。

かりに荷物の重量制限が厳しいLCCで、これだけの荷物を運ぶとなると、果たしてどのくらいのオーバーチャージがかかるのでしょうか…。

 

蘇州号の大浴場

新鑑真号の貴賓室

 

船旅に色あせない魅力があるとすれば、それは手軽に非日常的な体験ができることではないでしょうか。

お金で移動時間を短縮させるというのではなく、非日常的な生活空間を買うと考えればよいのです。たとえば、日本の国内で数少ない寝台列車に乗ろうと思ったら、新幹線よりずっと高い金額になるはずです。行きずりの乗客との交流は有意義であり、語学学習者なら中国人や欧米人との会話力がブラッシュアップできる格好のレッスンの機会になるはずです。

甲板に出て眺める風景も格別でしょう。長江の濁流が注ぐ黄土色と外洋の深い藍色とのコントラストを目の当たりにし、日本列島と中国大陸との距離を見つめ直す機会にもなるでしょう。

あるいは、陸地が一切見えない広大な東シナ海の海原や、真夜中に夜空から降り注ぐ星の光に心が洗われる気持ちになることもあるでしょう。

上海港国際客運中心

(上海港国際クルーズターミナル)

 

では、新鑑真号と蘇州號では、どちらがおすすめでしょうか。乗船料金はどちらも日本円で2万円(2等室)から10万円(VIP室)という料金体系です。

新鍳真号は寄港・出港が大阪か神戸、蘇州號は大阪だけですから、結局、出発日・到着日の都合や、出発地・到着地でのスケジュール次第ということになります。

ただ、新鑑真号のホームページは比較的見やすい構成となっている一方、蘇州號は画面レイアウトが20年近く模様替えしていないように思われます。

また、新鑑真号で提供されているWi-Fiは時間制限がなく(500MB/72時間、1000円)、できるだけSNSへのアクセスを途切れさせたくないというような方には重宝することでしょう。

しかし、そもそも細切れ時間ばかりの日常生活から脱出して異次元の空間で過ごすのが船旅の醍醐味です。この際、たまには蘇州號の展望風呂に浸かりながら、完全オフラインの世界にどっぷり浸ろうと決め込むのも一つの選択肢かも知れません。

なお、2つのフェリーの乗船予約は、OTA(オンライン・トラベル・エージェント)経由で手続きができますが、どうせならオフィシャルサイトをのぞいておくのがよいでしょう。

 

 

フェリーターミナルへの交通アクセスや運航スケジュール、乗船料金の詳細がオフィシャルサイトで確認できます。一つ注意したいのは、晴れて(?)乗船ということになりましたら、乗船料金のほかに燃料費や出国税といった費用をフェリーターミナルで支払う必要があることです。事前確認を怠りなくされてください。

なお、再び乗る機会があるどうかは別として、乗船後にそれぞれの船の「友の会」に入会しておくのがよいでしょう。5回目の乗船時に料金が半額になるといった特典が提供されるかも知れません。点と点を結ぶ移動ではなく、その過程を楽しめる船旅は冥利に尽きるものです。国慶節期間中の予定がまだ立たない方、「船旅なんて時間の無駄」と決め込まず、海洋ルートでのご帰国をご一考されてはいかがでしょうか。

(レポート:高野耕雲)

 

新鑑真号

<https://www.shinganjin.com/>

 

蘇州號

<https://www.shanghai-ferry.co.jp/>

【こちらの記事もどうぞ】

微信公衆号:HeyNanaco

 

↑↑↑ここをタップ!

 

香港空港→深セン(各口岸)へのアクセス方法

https://www.shenzhen-fan.com/access-hkairport-to-shenzhen/

深セン(深圳湾口岸) → 香港国際空港へのアクセス方法・値段比較

https://www.shenzhen-fan.com/access-shenzhenbay-to-hkairport/

【2019年版】香港空港から深センに安全に移動する3つの方法

https://www.shenzhen-fan.com/2019-07-safety-routes-from-hk-airport/