Nanaco

あなたの海外生活はお任せあれ!

“水の都”松江はやはり“雲”が似合う 日中の“まつえ”はこんなに似てる?

 

上海の西南エリアに位置する松江区。“そんこう”と呼ぶより、“まつえ”と訓読みするほうが日本人にはしっくりします。島根県の「松江」を想起しやすいことも関係しているのでしょう。日本・島根、中国・上海にある2つの「松江」。じつは、意外にも風土・自然をはじめとした“相似点”が多くあるのです。

風光明媚で知られる

ダブル「松江」

 

 

島根県の松江という地名は、松江城をつくった堀尾吉晴命名したとされます。一説には、明に渡った経験を持つ春龍和尚が、“松陵江”(呉淞江の古称)にちなんだ名前をつけるように吉晴に進言したのが背景にあると言われています。ただ、定説にまでは至っていないようです。

そこで勝手に推論。吉晴とその息子の忠氏が出雲・隠岐2国に入府して出雲富田藩松江藩の前身)を立藩する前に領していたのが遠江国・浜松です。すると、“浜松”と“遠江”から一字ずつ取って“松江”と名付けた――これはトンデモ説でしょうか!?

*

ちなみに、堀尾氏は吉晴・忠氏・忠晴の三代で断絶。代わって若狭国から移封されてきた京極氏も一代で断絶すると、次に徳川家康の孫にあたる松平直政が信州松本から入府し、松江松平藩の祖となります(“松”のオンパレードですね)。寛永十五年(1638)のことでした。

*

·では、風光明媚なエリアとして知られる2つの「松江」にはどんな相似点があるのか見ていくことにしましょう。

 

 

|魅惑の湖|

☆松江区·月湖☆

 

月湖は上海松江区にある人工湖で、水域面積は456ムー(1ムーは15分の1ヘクタール)あります。山紫水明の風光明媚な景観をつくりだす一方、彫刻を目玉にしたテーマパークも新設、ユニークなスポットとして注目されています。

 

 

松江市·宍道湖

 

「水の都・松江」の象徴。約1万年前に形成され、周囲長は約47km、全国で7番目の大きさを誇ります。わずかに塩分を含む汽水湖のため魚種が豊富。夕景の美しさは絶景で、日本夕陽百選にも選定されています。

 

|雅称に“雲”|

☆松江区·雲間☆

 

「雲間(うんかん)の陸士竜(りくしりよう)、日下(じつか)の荀鳴鶴(しゆんめいかく)」――呉・西晋時代、松江の名士であった陸雲(りくうん、262年-303年)が洛陽の都に上り荀鳴鶴に出会った際、2人はこのように自分の名前を名乗りあったそうです。

 

 

松江市·雲州☆

 

怪談などで知られるラフカディオ・ハーンが松江で生活したのはわずか1年3か月という短い期間。しかし、彼の日本名、小泉八雲の由来となったのが「八雲立つ出雲の国」というように、受けた影響は計り知れないものがありそうです。“出雲”の起源には諸説あるものの、出雲藩には雲州藩という別称があり、“雲”は出雲の国を表す枕詞です。

 

|“天守閣”|

☆松江区·方塔 ☆

 

旧市街地にある史跡公園にそびえる「方塔」のルーツは宋代まで遡ります。その後、幾度もの修復を経ながら現在までその息吹を伝えています。正式名称は興聖教寺塔といい、方塔とは四角い塔という意味。高さ約42m、9層建てです。

 

 

松江市·松江城

 

別名は千鳥城。慶長16年(1611)に完成。桃山初期の城郭の特徴を残した実戦的な本丸が特徴で、天守閣は標高29メートルあります。全国で現存する12天守のひとつに数えられ、2015年、国宝に指定されました。

 

|水郷に架かる橋|

☆松江区·松浦大橋☆

 

自動車道と鉄道を兼用した二層からなる橋梁で、全長は1,858mあります。黄浦江に架かる橋としては第一号です。1975年9月11日、1976年6月29日にそれぞれ竣工しました。

 

 

松江市·松江大橋☆

 

松江市を南北に分けるように流れる大橋川には4本の橋がありますが、最も古いのが「松江大橋」。初代の橋が建造されたのは慶長13年(1608年)。日本百名橋に選ばれています。

 

渡し船

☆泗涇古鎮☆

 

上海の母なる川、黄浦江の支流3つのうち2つが松江区石湖蕩鎮東夏村の域内で本流と交わるなど、松江は“水郷”としての名を轟かせています。前回のHeynanacoでご紹介した「泰晤士小鎮」のほかに名所として知られるのが泗涇古鎮です。「上海のルーツ」とも言われます。

 

 

☆松江堀川☆

 

「矢田の渡し」は、宍道湖から松江市の市街地を横切って中海へと流れ込む大橋川の渡し船。千数百年の歴史があると言われます。一方、築城時の姿を今も残す松江城を囲む堀を小船でめぐる「堀川めぐり」は“水の都”松江観光の目玉です。

 

|“魚米之郷”|

宍道湖七珍料理☆

 

海水と淡水が混ざり合う宍道湖。そこに生息するスズキ、モロゲエビ、ウナギ、アマサギシラウオ、コイ、シジミの7つを素材とした料理です。そのほか松江には、出雲そばや団子等、味わい豊かなご当地グルメが多くあります。

 

 

☆黄浦江大閘蟹☆

 

松江で産する「黄浦江大閘蟹」が全国の「川蟹コンテスト」で大賞を受賞するなど高い評価を得ています。1980年代以降、取りやめていた養殖を、新テクノロジーの活用で復活、“松江名産”が捲土重来を果たしました。

 

|文明の“指紋”|

☆広富林文化遺跡☆

 

新石器時代から、周、漢、宋、元など様々な時期の大量な文化遺跡と出土品がこの地で発掘。今年2月には約5千年前の女性の人骨に東アジアで最も古い結核の痕跡が見つかり話題になりました。日本列島にもたらされた稲作文化の源にあたる場所として注目されています。

 

荒神谷遺跡|

☆神庭荒神谷遺跡☆

 

国宝の本殿を有する神魂神社出雲大社の元の地であり、最古の埴輪も発見されています。一方、出雲市斐川町では、1984年(昭和59年)夏に弥生時代銅剣の総発見量をはるかに上回る358本もの銅剣が、翌1985年に銅鐸、銅矛がそれぞれ出土されています。出土品は1998年(平成10年)に国宝として指定され、「古代出雲歴史博物館」で展示されています。

 

 

...................むすび―...................

 

文明の衝突』で有名なハンチントンの説では、日本文明は世界の6大文明の一つに数えられています。中華文明の起源が「雲間」にあるとしたら、日本文明の起源は「出雲」。二つの「松江」には一衣帯水の日中関係を示す象徴といえるかも知れません。

レポート:高野耕雲

 

【こちらの記事もどうぞ】

ここをタップ↓↓↓

 

上海の観光情報をNanacoの電子雑誌ライブラリー「フリマガ」でチェック!上海市文化観光局が発行する観光ガイドを多数配架しています。

 

「フリマガ」ライブラリーの使い方

 

「フリマガ」に配架中の媒体

(2019年8月23日現在)

上海市文化観光局/中智日企倶楽部/日本貿易振興機構ジェトロ)「スタイル」シリーズ/JIN マガジン(天津)/こみゅにけーしょん青島(青島)/TOKOTOKO(北京)/Whenever大連(大連)/コンシェルジュ大連(大連)/コンシェルジュ上海(上海)/Marco日商務文化情報交流視点(上海)/杭州Navi(杭州)/LOOK大連(大連)/無錫新呉区へGO!(無錫)※順不同