大連「鴨コケちゃった」事件はご存知? Tik Tok短編動画で再ブレイクか!?
方言に関する話題が尽きないのは古今東西どこでも一緒。“方言”マスターを目指す必要はないものの、いくつかフレーズが使えたり巷の話題を知っているだけでローカルの人との心の距離がグッと縮まります。今回はネットで拡散された大連語に関するトピックを取り上げます。名付けて「鴨コケさせた自動車の自賠責保険申告事案」――です。
■「鴨コケちゃった」事件って知ってる?
その“事案”は8年前に発生したものです。自家用車で物損事故を起こした大連の男性が保険会社に相談の電話をかけてきます。取り次いだ女性オペレーターが事故の状況を聞き出そうとするのですが……。
○オペレーター(女性):車はどこにぶつけたのですか。
●ドライバー(男性):道路の「ダオヤーツ」。
○「ダオヤーツ」ですか。
●そうだ。
○それはどんな物体でしょうか?
●物体? あやぁ、道路の脇にある「ダオヤーツ」のことだよ。
○相手の「ダオヤーツ」は大丈夫でしたでしょうか。相手は賠償を請求していませんか。
●それはない、ない。
○では、事故当時の状況を確認させていただきます。車をバックしたときに「ダオヤーツ」にぶつかり車体左のシャーシを損傷したものの、相手は無事――よろしかったでしょうか!?
■とんだミス・コミュニケーション
この会話が笑いを誘うのは、「ダオヤーツ(Dao Ya Zi)」に対する二人の認識ギャップです。「Dao4 Ya2 Zi」は大連語で路肩の縁石を意味する「道牙子」(Dao4Ya2Zi)のことを指しますが、女性オペレーターはなんと「倒鴨子(Dao4Ya1Zi」(倒れた鴨)と受け取ってしまいました。たしかに被害を与えたとしても鴨から賠償請求される心配はなさそうです。
とんだミス・コミュニケーションが生じた根本的な原因は、男性ドライバーの訛りがあまりにキツいことが大きいでしょう。一方で、コールセンターの所在地は大連から離れた杭州であり、大連方言に不慣れなオペレーターが聞き取り対応に四苦八苦するのもやむを得ません。日本にたとえて言うなら、青森県(大連と友好都市)の人が話す方言を、静岡県(杭州がある浙江省と友好関係)の人が正確に理解できるかといったら、ちょっとハードルは高そうです。
この会話は、じつは他にも漫才のコントのような笑いのネタが満載です。男性が「石頭(石)」と言えばオペレーターが「是土(土です)」と聞き違えるなど、てんでちぐはぐな応答が見られるのです。オペレーターの口調が冷静なだけに、苛立つ男性とのコントラストが余計に際立っています。
ご参考までに、会話の要所を中国語に起こしてみましたので、音源とともにご紹介しましょう。
○客服(女):(事故的发生地)是在大连嗎?
●客人(男):在甘井子(区),革镇堡。
○干警市? 干是两橫一竖的干嗎?
●是,是,是。
○车辆擦到哪里?
●就四道边那个道牙子。
○倒鸭子?
●对呀。
○是一个什么物体呢?
●什么物体? 呀妈呀,不就是公道边上有倒牙子么。
○是那个墙还是铁杆还是怎么的?
●石头
○是土吗? (中略) 那我想请问一下对方那个倒鸭子有没有事呢?对方不要求您赔的是吧?
●啊, 那些都没有没有。
○那么我核对一下当时的信息。是您的车在倒车的时候,挂到了倒鸭子,造成了您本车左侧地盘受损,对方没事是吧。
●是,是,是。
■8年前のヒット作品が再ブレイク!?
この会話は「大連語、自動車自賠責保険申告案」《大连话,汽车保险理赔报案》という“事案”として中国全土で知れ渡ることになりました。人気バラエティー番組の「非誠勿擾」(江蘇衛星テレビ局)で紹介されたのも大きかったようです。
ドライバーの男性とオペレーターの女性が繰り広げるすれ違いの会話が大爆笑を呼び、“大連語”が一世風靡するキッカケになったとか、ならなかったとか……。
そして、このコントへのネットユーザーたちの熱い視線は冷めやらず、よもや再ブレイクか!とさえ思わせる事態になっているのは、TikTok(抖音)のショートムービーの影響も小さくありません。さまざまな工夫を凝らした字幕付きの作品がアップされており、楽しさは倍増します。検索エンジンでも「倒鴨子」と入力すると、あるある、いろんな記事・・・。
ご興味がある方はぜひチェックしてみてください。