Nanaco

あなたの海外生活はお任せあれ!

いまさら聞けない「絵文字」の基本 “笑顔”の裏に潜むホンネは?

 

1964年の東京五輪で活用されたピクトグラムに始まり、アスキーアートに代表される顔文字、そして今日の絵文字に至るまで、日本はこの領域で世界をリードしてきました。とはいえ、時として文化の違いなどから、”記号”解釈で齟齬が生じるのは致し方ありません。あるいは、“表情”に秘められた発信者の“ウラの心理”を察しないで、とんだ“ミスコミ”が生じていることもあるのではないでしょうか。

世界共通の“言語”となった「Emoji」

 

 

新国立競技場がこのほど竣工の運びとなり、来年はいよいよ東京オリンピックです。先日最終回を迎えた大河ドラマ「いだてん」を始め、「1964年東京五輪」の時代を回顧するテレビ番組もよく目につきます。年が明けると否が応でも五輪ムードが盛り上がりを見せていきそうです。

さて、「1964年東京五輪」の際に、世界からやってくるアスリートたちに向け、情報の伝達手段として力を発揮したのが「ピクトグラム」です。「ピクトグラム」とは、「何らかの情報や注意を示すために、わかりやすい絵や色の違いなどによって、誰にでも一目で意味がわかるように視覚記号(サイン)にしたもの」と定義されています。これを全面導入したオリンピックは「1964年東京五輪」が初めてとされ、初とくにトイレマークは世界標準になったのはよく知られることです。

 

 

時代は下り、情報化時代が到来。パソコンが普及し、インターネット環境が整っていくにしたがい、視覚記号はついに感情表現の領域にまで広がりを見せました。等幅フォントの文字を組み合わせて描くモノクロのアスキーアートはもとより、いまでは色付きのさまざまな絵文字がすっかりおなじみになっています。

ちなみに「絵文字」は英語でそのまま「Emoji」と綴られ、2015年にはオックスフォード辞典が毎年選ぶ「ワード・オブ・ザ・イヤー」で「泣き笑い」の表情を表す絵文字(Face with Tears of Joy)が選出されています。

ただ、西欧諸国では誤解も。emotion(感情)とicon(絵記号)の造語である「emoticon(エモーティコン)」のことを「Emoji」だと信じている人が少なくないのだそうです。

 

バイスが違うと感情表現にギャップ!?

 

 

Emojiは世界語と言われるものの、利用に当たってはいろいろと配慮しておくべきことがあります。

たとえば、デバイスの機種やプラットフォームによって、表示される“表情”に時折バイアスがかかってくるのです。極端な場合、Androidでは笑顔のつもりで発信したのに、iPhone上では憤怒の表情になってしまうということもあるのだそうです。

こうした事情も関係しているからでしょうか。すでに時代遅れのものだと思われがちな顔文字ですが、じつは未だに根強い人気を保っています。顔文字なら、感情の表現とその受け止め方に齟齬が生じづらいというメリットがありそうです。

 

“オジサン”には取り扱い注意の顔文字

 

↑おじさんを感じる顔文字TOP10 

 

そもそも顔文字の種類は驚くほどバラエティーに富んでおり、例えば、顔文字投稿の人気サイト「顔文字屋」では、1万2千個もの顔文字が登録されているそうです。今後も、多くのユーザーが新しい顔文字の作成に挑んでいくと思われ、顔文字が絵文字によって易々と駆逐されてしまうものではないことが分かります。

ちなみに入力ツールのSimejiが主催する「今年の顔文字」コンテストでは、今年の大賞に「どや(( ・´ー・`)」が選ばれています。

ただ、オジサン世代には多少きつい指摘となりますが、今年の9月、中国で大きな反応を示した記事に「おじさんを感じる顔文字TOP10(你用的表情过时啦!樱花妹票选「最有大叔感的颜文字Top10」)」というものがありました。

筆者も含めてオジサン世代がついつい使ってしまいがちな顔文字が10代女子(4000人)には不評なのです。心得ておきたものです。

 

“ウラの心理”に気付いている⁉

 

 

話しをEmojiに戻します。

利用する端末によってEmojiの表示が異なるということはすでにお伝えしましたが、もう一つ大事なのは、それぞれの国や地域の文化的な背景によって、表向きの“表情”とは異なる“意図”が存在することです。

たとえば、微信(WeChat)で安易に「スマイル」のEmojiを使うのは要注意です。「タテマエとホンネ」の世界といってもよいのでしょうか。「スマイル」を示したアイコンを使っていても、「蔑視、嘲笑、嫌い」の意味になってしまうことがあるからです。

たとえば、会話の最中に相手から「スマイル」が送られてきたら、「つまんないこと言っているじゃないよ。じゃあこのへんで」とういう“ホンネ”を汲み取らなければいけないのだそうです。

 

 

一方、笑顔で手を振るポーズもまた、「どっか行って」というニュアンスもあるそうです。なんだか、京都で「ぶぶ漬け、どうどす?」と言われるぐらいのショックですね。本当に心から「スマイル」を示したいのでしたら、もっと明らかに微笑み、笑っている表情のものを選ぶのが賢明といえそうです。

もっとも、こうした慣例が中国ならではのものというわけでもないかも知れません。「世界で最も使われる絵文字」ランキングを見ても、ハートの熱さが察せられるような表情のEmojiが好まれています。

中国で人気の絵文字は?

 

 

微信(ウェイシン)がデフォルトで搭載している絵文字に限定してみても、年代によって好まれるEmojiが異なってきます。近年は歯をむき出した表情の「スマイル」が若い世代を中心に好んで使われるケースも多いようです。ネット上では絵文字を元に作られたステッカーも目立っています。

ちなみに中国におけるトレンドとは異なり、日本の顔文字には、「照れ」を示す表現がよく目立つのだそうです。なんだか日本らしいですね。

なお、NanacoアプリのIM(インスタントメッセージ)機能でも、「表情符号」をご利用いただくことができます。カスタマーデスクとやり取りしていただく際は、ケースに応じて、ぜひご活用ください。