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“イン”も“アウト”も雁字搦め!? ヒトとモノの“越境”さらに厳しく

 

世界保健機関(WHO)が「パンデミック」宣言(11日)を発しました。こうしたなか、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染状況に対する人びとの関心は、感染者が減少する中国国内よりも、むしろ海外へと向けられてきたといえそうです。中国国内の「隔離」と「封鎖」対策も新局面へと突入。在留邦人にとっては感染リスクとは別の切実な問題を抱えることになりました。

 

 

日本からEMSがなかなか届かない!――というのもやむを得なかったようです。日本郵便が本日13日から国際郵便の引き受けを一時停止。新型コロナウイルスの影響で日本(成田または関空)と中国を結ぶ直行便で運航中のものはわずか。輸送能力の大幅ダウンが一目瞭然です。

 

 

インターネットが普及し、世界がボーダレス化に向かうと期待されていたのが、新型コロナを契機に、ヒト、モノ、情報いずれもが“自国ファースト”“国内回帰”に向かっているとしたらなんだか皮肉ですね。国家間のサイバー攻撃フェイクニュースの応酬の延長線上でも国際関係に歪みが生じることもあれば、アウトバウンド(越境EC)、インバウンド(観光)ともに大きな痛手を被っています。

 

 

 

山東省の威海市が日本と韓国から訪れた全ての人をホテルで14日間隔離すると発表したのは先月の25日でした。その後はあれよあれよという展開で、3月10日からは15日以内の査証(ビザ)免除措置(商用や親族訪問除く)が一時停止となり、広東省を例にとると本日13日から検疫措置の対象国が25か国に拡大しています。

 

入国者の行動はまさしく雁字搦めです。空港や港湾、陸上入国ゲートで体温検査を受けた後、当局が手配した車両で(当局)指定の施設(ホテル等)に移動させられるのだそうです。空港到着から移動までに優に数時間はかかると聞いています。そして、たとえその後の核酸検査の結果が陰性であっても、14日間も“軟禁”生活を強いられるとなると目眩いを感じてきます。

 

 

 

ここで多くの人が抱く素朴な関心は、政府が指定するホテルがどんなところで、滞在中はどんな行動制限を受け、宿泊にまつわる費用負担はどうなるのかといったことではないでしょうか。仕事を抱えていれば宿泊先のWi-Fi環境がどうなっているかも気になるところです。大連市がまだ韓国だけを検疫対象としていた際は、大連昱聖苑国際酒店が隔離先だったと耳にはさみましたが、真相を知る機会はありませんでした。 

 

とりあえず、最近、中国に入国した知人(大連在住)に事情を聞いてみると、当人はオレンジホテル(桔子酒店)に泊まり、他に7Daysホテルに宿泊した人がいると紹介してくれました。住まいが市内にあるものの、空港での体温検査を終えたときはもう遅い時間だったため、車の出迎えが翌日に見送られるという体験をしたそうです。また、「在宅隔離の要求(一人一部屋、風通しが良いこと等)」を満たさない住まいだったため、家族と別居させられた知人がいることも話してくれました。

 

 

 

ちなみに宿泊先への移動やホテルの宿泊料は原則として政府持ちで、1日3食が無料提供されるそうです。宿泊中はさらにフードデリバリーも利用(費用は自己負担)できると聞いていますので、“温飽”に支障を来たすことはまずなさそうです。人との面会はできず、出前で運ばれてきた商品の手渡しはできず、門の外に置かれるだけ――これぐらいは想定内でしょうか。

 

ただ、都市によって事情は多少異なってくるでしょうし、深セン情報サイト「Shenzhen-Fan」の記事によると、居住区がホテル代を負担してくれず、自己負担となったケースがあるそうです。

 

これまでもそうであったように、政府の感染対策も目まぐるしく変化していく可能性があります。所轄の在外公館や市政府の外事弁公室が発信する情報(大連市ですと大連新型コロナウィルス肺炎疫情防控指揮部が担当)をチェックしておく必要がありそうです。

 

表紙デザイン:楊唯伊

本文デザイン:柳華恵

文:耕雲

写真提供:Meiko Cho

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