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進撃のローソン [大連編] [インタビュー]大連羅森便利店有限公司・武知英樹 氏

 

このほど200店舗のマイルストーンを達成し、大いに気を吐くローソン大連。来年は中国進出25周年、大連進出10周年という節目の年を迎えます。大連地区におけるコンビニ業界の動向や、今後の事業展望等について大連羅森便利店有限公司の武知英樹総経理に語っていただきました。

 

 

◯編集部:貴社は日系のコンビニブランドの中でもいち早く中国進出され、今回は大連で200店舗というマイルストーンを達成しました。現在、加盟店の募集を盛んに行われていますが、次はどのような目標を掲げられているのでしょうか。

 

●武知:ローソン中国全体では、将来的に全国で1万店舗以上のネットワークを築いていくという構想があります。大連については2022年に300店舗という青写真を描いており、目標達成のためのステップとして今年は旅順エリアに駒を進めます。物流面でのハードルをいかに克服していくかがチャレンジとなりますが、現在はまさに面を広げていく段階にあります。

なお、大連進出当初は、オフィス街等、人がより多く集まる場所を意識した出店を行っていましたが、近年では空港ロビーや地下鉄駅、さらには医療施設にも店舗を設けるなど立地条件も多岐に渡るようになりました。このような様々な出店を今後も前向きに対応していきたいと考えています。

 

 

 

Q:大連でチェーン展開を行っている日系コンビニブランドは貴社のみです。ライバルの存在を意識することはありませんか。

 

A“便利店”というコンセプトでしたら、中国国内ブランドである「快客(クイック)」が約180店、「会有(エニーワイド)」が約120店というように、それぞれ多店舗展開を行っています。大連以外に目を向けると、北京でセルフレジを活用した運営を行っている「便利蜂」というブランドがあり、その動向についても意識することがあります。

 

 

Q:コンビニは日本発祥の文化と言われますが、日本では当然とされているサービスがさまざまな制約で提供できなかったり、運営上異なった点もあるのではないでしょうか。

 

A:そうですね。イートインスペースを広く確保した大連1号店(ソフトウエアパーク)は例外ですが、中国では店舗面積が日本よりかなり小さめというのが一般的です。店内にコピー機を設置するケースもまずありません。さらに雑誌コーナを設けていないのが通常ですし、タバコも販売しておりません。

一方、日本では全体のわずか1%程度に過ぎないものの、薬剤師を配置させて医薬品の販売を行う店舗がありますが、中国ではまずあり得ないことです。

ただ、中国のコンビニのサービスが遅れてるというわけではありません。新しい商品を発信していく力が日本のレベルに到達するまでには時間がかかるものの、キャッシュレス決済などITの活用面では中国のほうが進んでいます。

 

 

 

Q:日本が中国からノウハウを吸収していく立場になることもあるのではないでしょうか。ローソン中国のITの活用ということでは、会員に対して専用クーポン、会員価格、イベント等のサービスを提供する「羅森点点」(ローソン点点)アプリの利用者が増えているようですね。アプリだけでなく、微信のミニプログラムもリリースしています。

 

A:「羅森点点」は日本で展開している「Ponta」に相当しますが、大連地区だけでアプリのダウンロード数は百万に達しています。

 

 

 

Q:日本とはスケールが違いますね。人口のパイが大きいことや、スマートフォンが普及しているのは無論のこと、コンビニ利用者の年齢層が日本より若いことも背景にあるのではないでしょうか。

 

A:現在、ローソン大連のお客さまの属性を見てみますと、20代から30代の女性が大きな割合を占めています。これらの人たちがさらに頻繁にローソンの店舗に足を運ばれ、今後、歳を重ねていっても引き続き利用していただけるように、お客様にサービスを提供し続けることが私たちのミッションです。いわば顧客の囲い込み戦略をどのように展開していくかというテーマになりますが、新たな商品を開発し、頻繁に陳列棚の商品を入れ替え、お客さまを飽きさせない工夫を常に絶やさないように努めています。

 

 

ライトユーザーをヘビーユーザーのレベルに引き上げていく事で業績が向上していくわけですね。そのうえで、おにぎりや弁当といった中食のジャンルは貴社の主力商品かと思いますが、お客さんの商品に対する評価や受け入れられ方は日本と違いがあるのでしょうか。梅干しのおにぎりの登場は今後も期待できそうにないようですね(笑)。

 

 

ツナマヨ”は中国でも定番の人気商品になっています。寿司文化が普及したこともあり、おにぎりはしっとり感のある直巻きよりもパリパリ感があるタイプが歓迎されている向きがあります。

一方、日本で流行った商品という触れ込みで宣伝を行った効果もありましたが、「悪魔のおにぎり」のヒットで、たとえ海苔を巻かなくても現地の市場で歓迎してもらえるという実績ができました。「悪魔のおにぎり」は、多くの開発商品のなかで定番アイテムとして生き残った数少ない例のひとつです。すでに第4弾を売り出すなど、シリーズ化に成功しています。

 

 

 

Q:おでんについてはいかがですか。日本ではコンビニの店舗数が頭打ちとなり、さらに運営コストの都合でおでんの提供を取りやめる店舗が目立ってきたと聞いています。

 

A:大連ローソンにとっておでんはマストなアイテムになります。ローソンの昆布だしのつゆは、すっかり中国の消費者にとってもなじみのある味覚となっており、店舗の開設にあたってはオーナーさんに向けてつゆの調合の仕方などきめ細かい指導を施しています。ちなみに、天候や季節によっておいしいと思ってもらえる味は変わってきます。それゆえ都市ごとに味のカスタマイズが行われることも頻繁にあります。

 

 

 

Q:おでん文化はおにぎりと同様、ローソンさんが中国に持ち込み、ライフスタイルを浸透させていった印象があります。ただ、利幅がちゃんと確保されているのか気になっています。

 

A:もちろん、しっかり確保できているからこそ、アイテムを増やしたり、割引セールを行うことができます。お客様が注文しやすく、人気のある具材をセットにし、お買い得な価格にしたことでお客さまによりリピートして商品を求めてもらえる機会が増えてきました。そこで本年度はおでん10本入りセットを初めて発売してみました。セット販売の半分を占めるほど好評でしたので、今後も継続していきます。

 

 

Q:ところで、武知総経理は大連にお越しになる以前はタイに赴任されていたそうですね。

 

Aバンコクでは5年間暮らしました。軍事クーデターが起こって間もない頃に着任し、1か月ほど外出さえままならない経験もしました。また、駐在中には、国王が逝去される出来事もあり、振り返れば、まさに大きな時代のうねりの中にあったといのが実感です。

 

 

 

Q:バンコクのローソンは、大連の店舗と比べるとどんな違いがありますか。

 

Aバンコクの店舗数は約140店舗あります。大連とは気候が全く違うほか、(中国と比べて)交通インフラが劣っており、渋滞が深刻です。それにチルド物流も普及していません。おにぎりやお弁当などの商品はほとんど冷凍輸送で店舗に運ばれて来るのです。その結果、商品の味覚の追求という点では制約が課されてていたと言えそうです。

 

 

 

Q:貴社グループが日本で特に重視されているのが味覚や健康に配慮したプライベートブランド商品です。「悪魔のおにぎり」シリーズについて先程触れていただきましたが、大連ではそのほかどんなオリジナル商品を独自に展開されているのでしょうか。

 

A:日本同様にデザートに力を入れています。3月にはイチゴを素材にした季節限定商品を売り出してきました。エクレアや大福餅、冷たいパンなどは大変好評で、大ヒットしました。

今月はベーカリーに力を入れており、ポイントを貯めてタンブラーがもらえるポイントコレクト企画を5月11日から開始します。

お客さまに頻繁に店舗に足を運んでいただくためには、お客様の変化に対応して楽しくワクワクする企画、新商品、お買得商品など、様々な取り組みを行っていくことが求められていると思います。

なお、弁当類を含めて大連で独自開発した商品の生産工場はローカル企業ですが、日本から専門人材が派遣され、品質管理を含めて厳格で的確な指導やサポートをしております。

 

今後もますますユニークで美味しい商品の充実が期待できそうですね。11日から始まる200店舗達成の記念プロモーションも楽しみにしています。(了)

 

【プロフィール】

武知英樹(たけち・ひでき):

大連羅森便利店有限公司総経理。東京生まれ。1997年にローソン入社。大阪の店舗で店長からSVを経験。2011年、和歌山支店 支店長、13年海外事業部 タイ事業「SAHALAWSON」営業本部長兼マーケティング部長を経て19年4月、大連に着任。2020年2月から現職。

 

【DATA】

大連羅森便利店有限公司

大連市中山区長江路280号大連中心·裕景5号楼ST2大厦8層一単元01、10-13室

電話:0411-82655195

URL: http://www.dllawson.com.cn/

 

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