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「まずい・高い」老舗ブランドにネットは厳しい目

ラッキンコーヒーが上場廃止

 

中国でコーヒーチェーンを展開する「瑞幸咖啡」(以下、ラッキンコーヒー)は19日夜、NASDAQが15日に上場廃止を伝えてきたことを明らかにしました。第一財経YiMagazineやブルームバーク等、内外の大手メディアが報じています。

 

同社の不正会計問題を機に4月7日から停止をしていた株式取引は20日には再開しており、請求日から30日から45日の間に行われる公聴会が始まるまでは上場が継続されます。

 

 

粉飾決算など会計問題に絡む懸念材料や情報開示における重要な問題が浮上してきたのは4月2日のことでした。売上高のうち約22億元(約330億円)が架空取引などで水増しが行われたとされています

 

 

ランキングコーヒー2017年に創業しました。ナスダックに上場したのは2019年5月17日のことで、創業から費やした時間はわずか18か月中国企業の最速上場記録を塗り替えています。一方、総店舗数も米スターバックスを越えるなど話題に事欠きませんでしたが、不正会計のスキャンダルで消費者の信頼も失墜してしまいました。ネットの書き込みでは「上場取り消しは当たり前だ。風上にも置けない企業に中国で上場してはもらいたくない」等、厳しいコメントも少なくありません。

老舗ブランドへの辛辣な評価

 

 

中国のスターバックスともうたわれたラッキンコーヒーのスキャンダルから上場廃止通知までの経緯が話題をさらっている一方で、中国国内での老舗ブランドの“上場廃止”についても注目が集まっています

 

天津名物「狗不理」を運営する天津狗不理食品股分有限公司5月11日に全国中小企業株式譲渡システム(National Equities Exchange and Quotations、通称NEEQ)での上場をとりやめたのです。「時代周報」が5月15日付で伝えたところによると、「狗不理」の収益事情は好ましく、2019年の純利益は前年比で17.22%伸張したとされていますが、上場廃止の背景として同社は業務の発展および長期的な戦略発展プランのニーズ、ならびに経営の実状を鑑みたことを挙げています。

 

「狗不理」といえば、北京の「全聚德」に並ぶ由緒あるブランドであり、袁世凱西太后に献上したというエピソードもあるそうです。しかし、近年では消費者の評価は辛辣で、ネットでの書き込みを見ると、「まずくて高い」「コスパが悪い」「(同社が)事業を多角化すれば役に立たない代物」という意見がありました。いずれにせよ新興ブランド台頭などで加熱する競争や、消費者の世代交代などの影響を受け、「狗不理」の評判は下がりこそすれ回復することはなかったと見られます。このことは北京の伝統グルメ「全聚德」についても同様のことが言えるかも知れません。

「狗不理」は健康市場にターゲット

 

 

同社は2005年に天津同仁堂が当時、1億600万元で買収し、以来、冷凍食品の販売を始め、ビジネスモデルの転換を図ってきました。その他、高級レストランの経営にも乗り出し、天津狗不理大酒店(和平路店)、狗不理大酒店(蘭州西関店)を開業しましたが、消費者にとってはこれらのレストランで食事をするのはステータスシンボルぐらいの意味しかなさなかったと見られます。

 

その後、2012年にはコーヒー産業にも着手し、14年には高楽雅珈琲国際有限公司がのブランド使用権を取得するなどしましたが、こちらは伸び悩み、2019年の時点で60店舗にとどまっています。現在は、中国が掲げるスローガンである「大健康」にターゲットを置き、オーストラリアの健康食品ブランドであるHenry Blooms、プロバイオティクス研究で最先端を行くBJP実験室等を買収するなど国際市場も見据えた展開を行っています。