「新型肺炎」で在宅勤務が“新常態”に? 無料サービスもあるネット会議ツール特選
いまだ感染拡大に歯止めがかからない“新型肺炎”。企業活動が10日から再開したとはいえ、帰省先の外地から戻った社員は2週間もの期間にわたって強制隔離を余儀なくされてしまいます。そこで業務遂行のうえでに重宝するのがオンライン会議ツールです。主だったものをピックアップしてみましょう。
中国版“働き方改革”が進行中?
思い起こせば2003年に流行したSARSは、その後の中国経済の飛躍をもたらす大きな起爆剤となった側面があります。都市の衛生水準が向上を見たことはもとより、「タオバオ(淘宝網)」が誕生し、電子商取引の隆盛を見る今日のネット社会の基礎が築かれたのもこの頃です。
今回の「新型肺炎」の感染拡大では、医療現場に従事するロボットの増加等、新たなイノベーションの創出を予感させるニュースが報じられています。人びとのワークスタイルが劇的に変化し、リモートワークが“新常態(ニューノーマル)”にさえなりかねない様相を示しているのです。
さて、在宅勤務の基本インフラとなるのがオンライン会議ツールです。今後の中国版“働き方改革”の行方を占うためにも、どのようなアプリやサービスがあるのか、メジャーなものをチェックしておきましょう。
無料通話サービスの草分けといえばこちら。元々はルクセンプルクに本社を置くスカイプ·テクノロジー社によって運営されていましたが、2005年にマイクロンフトが買収。以来、MSNのアカウントでもログインが可能になっています。ブラウザ版とアプリ版があり、ビジネスユース向けの有料版は機能も充実。とはいえ、無料版でも最大10人までのグループ通話ができますので十分事が足りるかも。
ビデオ通話を行いながらメッセージ画面を起動し、メッセージやファイルのやり取りができるのは便利。操作中のパソコンの画面を表示させる「画面共有」という機能もあります。なお、ネット事情がよくないと思われるインドに向けては、軽量版アプリ「SkypeLite」がリリースされています。
QQと並んでテンセントが展開するコミュニケーションアプリです。詳細な説明は不用でしょう。利用するうえでの敷居が最も低いツールだといえます。ユーザー数11億という規模はもちろん中国で最大。グループからメンバーを選び、手軽に複数人数で音声または動画のチャットができます。
Zoom
会話相手とメモの共有ができるホワイトボード機能や、画面共有、録画などの機能を搭載しています。議事録の作成が必要な会議には重宝するでしょう。
1:1の通話は時間無制限で、無料版でも最大100人が会議に参加することが可能です。ただし、グループ通話の場合は40分の時間制限があります。
DingTalk
アリババが開発したオールインワンオフィスツールで中国語名は「釘釘」。いわばビジネスに特化したSNSと言ってよいでしょう。
2015年1月に初版が公開され、「スマートワークスタイル、コミュニケーション&コラボレーションの再定義」というスローガンを掲げています。連絡先を内部コンタクト(企業内)と外部コンタクト(顧客や取引先)に分けることができたり、メンバーが離職した場合は退出したりできます。メッセージについては既読/未読の表示が可能です。
テレビ会議とWeb会議
以上、主だったツールを見てきましたが、元々、オンライン会議のツールは、テレビ会議システムとWeb会議システムの二つに大別されてきました。
デバイスをネットに接続することで音声や映像、データをリアルタイムにやり取りできるシステムという点ではどちらも同じです。ただ、大きな会議室で定期的に会議を行う場合は、機器を使わないweb会議より、高画質で、より広い範囲の音声が拾えるテレビ会議のほうが適している向きがありました。実際、テレビ会議のほうが、音声もクリアで、途中で途切れたりするケースも少ないというメリットがあります。
(もっとも、今後の5Gの普及で、Web会議のネックとなっていた接続の安定性も、劇的な改善が見込まれるのかも知れません。)
テレビ会議が普及しなかった理由
とはいえ、テレビ会議システムはなかなか普及しませんでした。その背景には、甚だコストパフォーマンスが悪いソリューションという先入観が根付いていたことがあるでしょう。導入費用が数十万から100万円もするとしたら、中小企業にとっては高嶺の花だといえます。
どうして導入費用が高くついたかといえば、テレビ会議にはこれに特化した独自のソリューションが使用されていたことによります。MCU(Mulltipoint Control Unit;多地点接続装置)とよばれるもので、複数拠点を同時につなぐことが可能になったものの、経年劣化が免れられず、アップデートやメンテナンスが必要となるなどのハードルがあったからです。
それでも、ASP(アプリケーションサービスプロバイダ)事業者には、このMCUをレンタルで提供することでユーザーに導入のハードルを下げる試みを行うところもありました。
弊社グループの「BizAiA!CloudMeeting」も、海外進出の中小企業様向けに提供してきた低コスト・多機能のクラウドテレビ会議システムの一つです。クラウドを通してアプリケーションを提供するためメンテや更新が不用であり、お客様に情報共有の迅速化や業務の効率化にお役立ていただいてきたのです。
Web会議を利用する際の注意点
手前味噌な話しになりましたので、もう一度、Web会議システムに話を戻しましょう。
先にご紹介したDing Talkを始めとするツールは、テレビ会議システムとは異なり、専用の機器を必要としません。スマートフォンやタブレット、あるいはPC等のデバイスがインターネットに接続できれば、簡単に利用が開始できるものです。
そして、自社内にサーバーの設置を必要とするタイプ(オンプレミス型)ではなく、外部サーバーを利用するスタイル(クラウド型)が採用されています。たとえビジネスユースの有料版メニューであっても、コストはだいぶ抑えられたものになっている印象があります。
今後、新型コロナウィルスの感染防止対策というアプローチだけでなく、“働き方改革”や社内のIT環境の整備といった視点で、導入事例はますます増えていくのではないでしょうか。
もちろん、利用人数がさほど多くなければ、無料版で事が足りるケースは少なくないでしょう。しかし、リスクもまた存在します。セキュリティーが不十分なフリーWiFi等で接続しない等の配慮は欠かせません。
また、中国にはネット規制があり、Google関連はもとより、LINE、Facebook等が利用できないのは周知のとおりです。導入しようとされるツールが果たしてそつなく継続的な利用が可能なのかどうか、慈善に把握しておく必要があるでしょう。
では、(中国で利用ができないものも混在してしまいますが、)その他のWeb会議ツールをまとめましたのでご参照ください。
日本国内で使われている会議ツール
Whereby
画面中央のボックスに自由にルーム名を打ち込んでURLを発行
Freshvoice
最短3クリックで会議が開始できる手軽さ
Omnijoin
ファイルの画面共有や同時編集・遠隔操作が可能
V-CUBE
インストール不要で、チャットや会議メモが共有できる
Amazon Chime
機能は1つのアプリケーションに搭載。
Calling
URLをクリックするだけですぐに接続
Active Web Video
アプリのインストール不要
Live On
クリアな音声と軽快な動画映像のWeb会議を実現
sMeeting
通話機能に音声コーデック「Opus」を採用
ミエルカ・クラウド
サポート体制も万全で、専用オペレーターがPC画面を共有しながらサポート
EyeVision
小さな文字もはっきりと読めるような高画質
Lifesize
クラウドベースのWeb会議システム
V-SESSION
スケジュール管理機能を使えば、次の会議の日程も調整
LoopGate
会議だけではなく研修や無人受付までフォロー。
RICOH Unified Communication System
マルチデバイス対応のWeb会議システム
Googleハングアウト
Googleドライブを利用すれば会議資料の交換が可能
BizMee_β
「会議室」の名前を入力して発行されたURLを相手に送信
Chatwork
チャット機能を利用すればファイルのやり取りも可能
agora.io
WebExの初期メンバーかつYY.comの元CTOが創業した世界最大のリアルタイムコミュニケーションSDK