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今日のお題:プール事情&中国の豆知識 [連載]ポスト・コロナ時代はどうなる? 中国の“あるある”[Vol.9]

 

■水は“緑”でも綺麗!?

 

中国人の子どもに絵を書かせると、太陽は黄色で、山はグレーで色を塗ることが多いそうです。グレーの山というのは山水画の影響があるからでしょうか。一方、海は何色かといえば、中国語では「碧海藍海」、日本語では「青海原」というように日中の間でそれほど大きな差はなさそうです。

 

一方、美しい自然環境を比喩する際に日本語でいえば「山紫水明」というべきところを、中国語では「青山绿水」という表現を使います。

■中国でも放映されたあのスポ根ドラマ

 

 

突然ですが、スポ根ブーム華やかりし1970年代初頭、水泳をテーマとした『金メダルへのターン』というドラマがありました。この作品、じつは荒木由美子を国民的ヒロインに仕立て上げた『燃えよアタック』(中国語名:『排球女将』と同じく、中国でも80年代に放映され、結構人気を博したようです。

 

『金メダルへのターン』の中国語名がなんと『緑色英雄(英雌)』といい、プールの色はどうやら当時、青ではなく緑と表現していたのです。水を「緑」と称するというのはハテ如何に。日本人としては少々抵抗を抱くあるのではないでしょうか。

 

ちなみに、『金メダルへのターン』は、主人公が厳しい訓練を積んで超人的な“必殺技”を編み出し栄冠を勝ち取るという点では他のスポ根ドラマと共通しています。ターンの際に空中を飛行して他の選手を追い越すという「飛び魚ターン」や、渦を起こして隣りのコースを泳ぐ選手を妨害するという「渦巻きターン」等、奇想天外な泳法が登場します。

■水質はだいぶ改善したが…

 

 

閑話休題中国のプールの水の色を緑としたのは、やはり水質の問題も関係していたのでしょう。いまでこそプールは青いものと認識されていますが、数年前までは何かと問題視されてきたのは事実です。猛暑で芋洗い状態も同然となったレジャープールの写真が出回ったのも記憶に新しいところです。(かなり時計の針を前に戻すと、大学のプールではスイカの皮が浮かんでいたとか。)

 

とはいえ、先進国のプールであっても、高濃度の塩素や消毒液により肌や髪が影響を受けるケースは少なくないでしょう。水あたりを起こす人もいるかも知れません。水を媒介とした病気は一般的にクリエーショナル・ウォーター・イルネス(RWI)と呼ばれるそうです。

■中国人は水泳が苦手?

 

 

ところで、中国で長期間生活をした日本人のブログ等を見ていると、中国人が一般的に水泳を苦手としてることが指摘されています。真実を得ている面もあれば、そうでない面もあるでしょう。

 

ご存知の通り中国の選手がオリンピックで金メダルを獲得することは珍しくもありません。鄧小平氏毛沢東氏が自身の健康をアピールするために、北戴河の海を泳ぎ切る等のパフォーマンスを見せたこともよく知られることです

 

一方、三国志に出てくる赤壁の戦いでは、水軍による戦いに慣れていない(泳げない)ことが中原出身の曹操軍の敗因の一つになったとも言われます。中国は広し。水泳に対するスタンスは庶民レベルでも地域差があったことが古来から綿々と続いているといえるのかも知れません。

■やはり平泳ぎが主体

 

 

庶民レベルで水泳を得意とする人が少ないのは、中国の初等教育で水泳の授業がないことを挙げることがあります。たしかに学校でプール施設を備えているケースは少なさそうです。

 

一方で、新型コロナウイルスの感染予防抑制期間中にプールを集団で使用することができないため、四川省のある大学では、各自持参した洗面器でクロールの息継ぎ練習を行っていたことがニュースになりました。陸上訓練の方法はもとより、大学で水泳の授業などあっただろうかと、筆者としては少々不思議に思ったものです。

 

なお、中国ではプールで泳ぐ人の大半は平泳ぎです。泳いでる動作を手振りで示そうとすると平泳ぎのポーズをとるのが一般的です。(ちなみに飛行機が飛ぶ様子を手振りで示すと、なんと手をバタバタさせるのが中国では通常です。)

■水上交通も改善か!?

 

 

当初、筆者が中国でプールを利用する際になじめなかったのが、会員制のプールでもレーンが引かれていないと“水上交通”に必ず乱れが生じることでした(大げさでしょうか)。

 

たとえ利用者が少ない場合でも窮屈に感じてしまう理由が、レーンをまたがって泳ぐ人がいるからなのです。一つのレーンを往復するのではなく、プールを目一杯に利用して周回する人が必ずいるのです。「飛込み」「潜水」「逆走(逆泳)」の禁止というルールのほかに周回禁止という項目も必要かも知れません

(文・耕雲)

☆【中国の豆知識】☆

 

都市によってそれぞれ事情が異なりますが、プールには①ジムプールや、スイミングスクール専用プールなどの完全会員制のもの、②会員制であり、ビジターも受け付けるもの、③一般開放しているプール、④ホテルのプール等があります。

一般開放しているプールですと1回につき30元くらいから利用できるものと思われます。一方、会員制プールの利用料金については、都市や施設によりけりですが、年間5,000元くらいから10,000元を超えるものなどさまざまでしょうか。

なお、会員制のジムでも子ども向け水泳教室を実施しているケースがありますので、落ち着いた環境で泳ぎたい場合は事前確認が必要でしょう。