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胡同巡りするなら「沙灘後街」へGO!

 

北京の「胡同」(フートン)は、そこに流れる時間の一刻一刻を“絵になる”魅惑的な風景に変えてくれます。ノスタルジックでほのぼのとした感傷的な気分に浸ることもあることでしょう。「胡同」巡りでおすすめしたいのが「沙灘後街」。モダンな高層ビルが建ち並ぶ国際都市に変貌を遂げた北京にありながら、古都の面影をいまに残す界隈の見どころをチェックしてみましょう。

 

 

-「胡同」巡りの醍醐味 -

 

北京の古き「路地裏」を巡ってみたいというのでしたら、沙灘後街から景山東門にかけての「胡同」(フートン)がおすすめです。添乗員に連れられた団体旅行者の姿をちらほら見かけることもありますが、至って静かな佇まいです。元朝の時代からいまに至る800年もの風雪に耐えてきた四合院やグレー色の壁、そして木々の間から差し込む木漏れ日――。まるでタイプスリップしたかのような世界がそこにはあるのです。

 

胡同の東端から北にかけて建ち並ぶ数多くの平屋根家屋のなかでも、ぜひ注目していただきたいのが「東景縁」で、奢侈な雰囲気のなかにアートの息吹が吹き込まれた空間です。いまをときめく著名人たちも盛んにここを出入りしており、さらに近年では「HUI-temple」という“東洋の美”をテーマとした多元的な空間がここに加わりました。では、「沙灘後街」で過ごす午後のプランをご紹介しましょう。

 

「沙灘後街」には有名な古刹があります。15世紀に建造された「智祝寺」と18世紀に建造された「蒿祝寺」です。もっとも、これらは厳粛な雰囲気が漂う宗教施設ではなく、いまではトレンディーな“テンプルレストラン”として話題を集めているのです。きっかけは2008年から多額の資金が路地裏一帯の改造のために注がれたことでした。グルメ、エグジビション、歴史、現代アートが一体化した総合空間「東景縁」という名前が中国全土を轟かせているのです。「東景縁」の中でもとくに熱視線が注がれる名所がHUI-temple」です。黒く塗られた茶室の門をくぐると、室内には東洋アートの作品が展示され、生け花や茶芸の体験ができます。高価なレコードプレーヤーから流れる古琴の音色に耳を傾けているうちに、すっかり時の経過を忘れてしまうことでしょう。

 

 

 

カフェバー巡りも胡同探訪の醍醐味です。「大小珈琲」のオーナーはカフェとルイボス茶に首ったけな女性で、アフリカ留学の経験があるそうです。カフェの品質に対して厳密な要求を行うだけでなく、空間デザイン、コミュニティーの運営、ムードづくり、製品クォリティーや新リテールについても造詣が深く、多くのひらめきがデザインに体現されているのが容易に想像できます。

 

 

 

沙灘後街を散策していると、やがて威厳を呈した京師大学の旧講堂が目の前に現れます。京師大学は1898年に開学した近代中国で初となる大学で、庶民の入学を募集したことで知られています。ゲート付近にある書店は人民教育出版社が運営しており、伝統工芸といった匠の世界や教育関連をテーマとした書籍を多く扱っています。質素な外観ながら店内には一服できるティースペースが設けられ、陶器や茶器が展示されているほか、画展や書展が定期的に催されているのです。なお、京師大学は、明の時代まで遡ると皇族の神殿だったほか、清代には乾隆帝の寵愛を受けた四王女と嘉王女の邸宅として使われていたそうです。

 

 

都会の喧騒とは無縁な沙灘後街を歩き続け、しばらくすると景山公園の東門にたどり着きます。景山公園の面積は微々たるものかも知れませんが、自然を表現する精緻な設計が施されており、あずまやや楼閣も手が込んでいます。綺望楼や五方亭は皇帝庭園の造形美を表現したものとして典型的な存在だといえるでしょう。一方、景山公園は、寿皇殿、永思殿といった祖先を祭る神聖で庄厳な施設を備えた場所として位置づけられてもいました。園内には松や柏等が1,000余も植えられており、牡丹やシャクヤクといった珍花の数も1万に及びます。北京で最も高台にあると言われただけであって、景山の上から眺望する市街地は絶景です。歴史の渦に揉まれながら生き続けてきた首都の面貌に感慨を深めること請け合いです。

 

 

ウイグル風味の“プライベートキッチン”としておすすめしたいのが「魏口面」です。看板メニューとなっているのが串焼きで、岩塩を使って炙っています。新疆シュメリア羊、豪州サーロイン牛、上等ばら肉等、高品質の食材を仕入れています。夜明け間もない時間のうちから海鮮マーケットに出向いて牡蠣や冷凍エビ等を入荷しているのもなかなかタフですね。そのほか、ラー油の濃厚な香ばしさもさることながら、もちもちして口当たりがよい麺が売りの油溌面も人気で、テイクアウトにしても味覚が損なわれないのが特徴です。それに新疆ウスルタン特製ビールにとてもフィットするんですよ。グルメを極めたい方にはぜひ一度足を運んでみてください。