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[Vol.1] 今日のお題:身体距離 &中国の豆知識

 

【「ポスト・コロナ」で消滅も? 中国の“あるある”[連載]|[Vol.1] 今日のお題:身体距離 &中国の豆知識】ポスト・コロナ時代で“新しい日常”が「新常態(ニューニュートラル)」として定着するのか、それとも疫病終息と共に、何も無かったかのように再び古い日常に戻ってしまうのか―――。外国人が時として違和感を持ちがちな中国の“あるある”をピックアップしながら、中国の豆知識についてもご紹介していきます。

コロナ以前の身体的距離は…

 

 

連載の第1回目でまず取り上げたいのは、身体的距離についてです。「ソーシャル・ディスタンシング(社会的距離の確保)」なのか「フィジカル・ディスタンシング(身体的距離の確保)」なのか、ニュースで見かける表現には揺らぎがあるような印象を受けます。日本では5月4日に厚生労働省が、新型コロナウイルス感染症専門家会議からの提言を踏まえた「新しい生活様式」の提言を行っており、そこでは“身体的距離”という言葉で感染対策についてアドバイスしています。

 

この概念はいまでこそ中国でも浸透し、疫病感染対策のなかで実践がされてきましたが、以前はこの概念とかけ離れていたのが中国の日常だったといえるのではないでしょうか。欧米人に見られるハグ等の習慣は浸透していなくても、若い女性が同性同士で手をつなぎながら歩いている光景は中国の街中でよく見られ、これに驚きを示した外国人も少なくないでしょう。

 

 

一方、銀行のATMやスーパーのレジ、あるいは鉄道の切符売り場、バスの停留所等では、どうも人との人の距離感というものがかなり狭苦しくなるのが通常でした。おまけに列の割り込みは当たり前。身体的な距離、“間合い”の取り方といえば、中国よりもむしろ東南アジアの国のほうが日本人にとっては快適で、公共交通機関を利用する際でもほどほどの距離が保たれていた印象さえあります。

ITの進化も後押し、列に並ぶ機会が減少

 

 

一方、公共共バスにせよ長距離バスにせよ、あるいは飛行機にせよ、(筆者が利用するのはエコノミー席だということもあるという事情もありますが)中国ではどうも座席シートの間隔が狭めで、窮屈な思いをすることが頻繁でした。唯一例外なのが、鉄道の寝台列車で、こちらは日本の狭軌と比べてゲージが広い標準軌であるため、列車内のベッドも広く快適でした。

 

それはともあれ、新型コロナウイルスによって中国人の“身体的距離”に対する感覚が劇的に変わったのは、それがルールに従順だからなのか、それとも単に感染防止という自己防衛の意識が働いているからなのか、いずれも一理ありといえるでしょう。一方で、生活レベルの向上によって、モラルに対する意識が高まっている面もあるでしょう。

 

 

そのほかの要素としてITの進歩も重要です。キャッシュレス化社会の進行で、買い物やATMでの現金の引き出しに列に並ぶ必要はなくなっており、一方で、アリペイのスコア表示等の機能によって、ユーザーが極力社会的なルールの遵守に努めているというのも大きいといえそうです。

 

人びとの動機やプロセスがいかなるものであれ、快適な社会づくりが果たされるのであれば結果オーライです。いまや現金決済がまだまだ多い日本のほうがコンビニでの買いものや行政手続も時間がかかるようになっているのではないでしょうか。

【中国の豆知識】