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中国コラム]日本発!「ニセ中国語」は万里を駆ける!? 河野前外相の“萌えツイート”で再脚光?

 

中国語を学んでいなくても中国人とコミュニケーションができてしまう――そんな“革命的”なツールが日本人ネットユーザーによって発明され、ここ数年来、中国人ネットユーザーの間でも一定の認知度を保っています。ホットな話題になってはその都度沈静化してきた感がある「ニセ中国語」ですが、じつは、インフルエンサーによる萌えツィートによって「よもや“ブーム”再燃か?」と思わせる現象が生まれているのです。

ニセ中国語って何?

 

「ニセ中国語」と呼ばれるものがあります。「ひらがなやカタカナを取り除き、漢字だけで文章を書いた日本文」を指しますそれがどんなものかといえば、「ニセ中国語研究会」http://nisechina.com/)というサイトで日本語を“翻訳機”にかけていただければすぐにイメージがつかめるでしょう。

 

もちろん、「ニセ中国語」は本来の中国語文法からは逸脱しており、時として漢字の意味の把握という点でも齟齬を来たしてしまいます。もともとは日本人同士でゲーム感覚、あるいは文字スペースの節約を目的として使われるものであり、中国人に向けた情報発信という視点から見れば、適当な方法とは言い難いでしょう。

前外相の“萌え”ぶりがスゴイ

ところが、その「ニセ中国語」の“情報発信力”をフル活用したインフルエンサーが今年登場しました。

 

河野太郎前外相(現防衛大臣)です。「Heynanaco」では政治関連のトピックを取り上げることは致しませんが、じつは9月11日に行われた内閣改造の際に中国で最も注目の的となったのは同氏だったのです。

 

外相時代、中国女性報道官との自撮りツーショット写真を投稿したかと思えば、訪中にあたっては「ニセ中国語」を駆使したツィートを連発。氏に対する注目度は高く、中国のSNSでもすっかり「網紅」(ネット有名人、インフルエンサー)扱いを受けることになったのです。

河野前外相のツイートのひとつ、「不到長城、非好漢(長城に登らざれば好漢にあらず)」は全うな中国語といえるでしょう。しかし、他はどうでしょうか。さすがに「荷物整理」という言葉がツイートに登場した際は、「これは荷蘭製(オランダ製)の物品のことか」などと、ニセ中国語の“解読”に骨を折るネットユーザーは少なくなかったようです。

便乗商法まで登場!

 

厳粛な外交問題のはざまで行う謎めいたツイート、そしてフォロワーからのよもやま相談に対する軽妙な回答で脚光を浴びてきた河野前首相。挙句の果てに“河野人気”への便乗商法と言ってもおかしくない現象まで見られています。

 

河野前外相が韓国外相と握手をした際に身につけていた時計を「金時計」と決めつけたネットユーザーが河野氏を批判。すると同氏はこれを否定し、「竹製ですが、何か」とリツィートした逸話は中国でも快哉を呼びました。

 

同氏の袖から見えた時計はキラリと光るように見えたものの、確かにメイド・イン・チャイナの竹製。「京東」や「淘宝」などのECモールでは、そんなエピソードに便乗しながら、商品を売り込もうとする商魂たくましいサプライヤーが散見されています。

 

それはさておき、河野氏の功績がなにかといえば、堪能な英語を武器に外交手腕を発揮してきたことだけではなさそうです。日中間の“言葉の壁”を「ニセ中国語」で克服し、日中ネットユーザーの架け橋となったのは大きな貢献だったといえるのではないでしょうか。

次号では、中国のネット上で見かけた「ニセ中国語」の事例についても触れてみることにしましょう。(続く)

(文:高野耕雲)